社員鼎談

Cross Talk 03クロストーク03

採用担当・新人教育・
今昔物語

I顧問(元総務部長 兼 専務取締役)
総務部 総務課 N課長
総務部 総務課 M.S

現在、採用を担当している総務課の2人に、以前、採用を担当していた顧問を加えた3人のスペシャル鼎談。大阪螺子製作所の採用活動・新人教育の今と昔とは?

クロストーク03

写真 左:N課長、中央:I顧問、右:M.S

01Talk会社組織に最も大切なのは
「協調性」

M.S現在、新入社員は、入社後約2週間の合同新入社員研修でビジネスマナー、各部署の役割、諸規則を学び、安全の研修を積んで、各部署に配属されます。
その後は直属の先輩のもとで実習を続けますが、数十年前の採用や新人教育はどうでしたか?

I顧問社会人としての第一歩を踏み出す若者に対しての、基本的な教育のあり方は昔も今も変わりません。
ただし、時代は移り変わり、新入社員への対応やフォローの仕方は変わってきているでしょう。

M.S昔は独特な研修制度があったようですね。

I顧問山梨県の富士宮市にある管理者養成学校で「地獄の訓練」と呼ばれる13泊のセミナーを知ってますか?
たまにメディアで紹介されることもありますが、「地獄の訓練」の言葉通り、座学ではなくからだ全部を使って鍛え抜く訓練です。40数年前に入社した私は、この訓練に自ら「行かせてほしい」と会社にお願いしました。

N課長地獄の訓練とは、どんな内容ですか?

I顧問夜間行進をしたり、駅頭歌唱訓練、8分間スピーチなど相当厳しかったですよ。ただ、社会人としてためになることの多い訓練でした。
会社に戻った私は、自身が経験した訓練を会社の新人研修に活かせないかと考えました。上司の了解も得て、数人を派遣しましたね。

M.Sその厳しい新入社員研修を経て、どのような学びを得てもらおうと考えられたのですか?

I顧問狙いは、労働力を提供して対価をもらう社会人として、それぞれが心を改めること。そして、集団力を高めることです。
それまでの学生気分から、気持ちを切り替えることができなければ、仕事を続けることはできません。だからこそ、人事担当の頃に面接で大切にしていた要素の一番は協調性。そして、笑顔と声の大きさでした。

N課長声の大きさや笑顔は、周りを引き込む力そのものです。そのような力を持っている社員は、協調性もあり、成長力もあると感じています。

02Talk中小企業の工場に対するイメージも変わってきた?

M.S人材の確保は企業にとって欠かせません。以前の採用活動はどのように行われていたのでしょうか?

N課長昔はつながりのある大学教授から学生を紹介してもらう機会も多くありました。関西大学、大阪工業大学、大阪産業大学、摂南大学、大阪電気通信大学などから、理系の材料工学や機械工学を学ぶ学生を推薦してもらうケースも多かったです。
現在の方が、出身大学や学部、経歴の枠も広がっている印象があります。

I顧問一昔前のことですが、新聞記事に「3K+1Kの企業に学生は行かない」と紹介されたことがあり、採用担当者として悔しい思いをしたことがあります。
3Kは「危険・きつい・汚い」。+1Kは「臭い」。当時は3K+1Kと表されるような工場も多かったかもしれませんが、全ての工場にあてはまることではありません。しかし製造業全体に対してネガティブなイメージを持つ若者が多かった時代もありました。

N課長確かに、中小企業の工場に対してのイメージは、こじんまりとしていて、汚いという言葉で片付けられることがあるかもしれません。ただ私は、実際に学生に対して説明する時に、「一度会社を見に来てください」と言っています。
足を運んでもらい、実際の目で見てもらうことで、きっとそのイメージは変わると思いますし、そのギャップが、むしろアピールできるものと捉えています。

M.S工場が綺麗・汚いという話よりも、最近は「学生側が会社を選ぶ」傾向が強くなってきています。採用の時だけ良いところを見せるのではなく、実際に入社してからの活躍するイメージ、成長できるイメージが湧きやすいよう、会社の本当のところを情報提供してあげたいと思います。
「よく分かった上で入社を決めてもらう」ことは、学生にとっても、会社にとっても大切で、ミスマッチを生まないための重要な観点ではないでしょうか?

N課長最近は学生側から「自分がこの会社に入って、どのように成長できますか?」と面接で聞かれることもあります。自分で成長するというより、成長させてもらいたいとも受け取れる質問が増えてきた印象です。
もちろん、入社後に成長のチャンスはたくさんあります。ステップアップできる具体的な話をどのように提供できるかは、これから益々課題になるかもしれません。

03Talkお互いの思いが合致する採用活動を

I顧問採用活動をしていると、「この人は!」「いい青年だ!」と、こちらが惚れる場合があるんです。ぜひうちの会社に来てもらいたいと、他に受けている会社があるのかを聞いたり、何回か自宅まで行ったこともありますよ。
女性に惚れるのと一緒で、「仲間になってくれ!」との思いをぶつけにいきました。

N課長現在の採用活動においても、それに近いことはありますよ。
会社側が欲しい人材を発掘したなら、「口説く面接をしなさい」と言われることもありますし、1回や2回の面接で惚れることができた貴重な人材を取りこぼすことのない採用活動が求められます。

I顧問会社を代表して面接を担当する訳ですから、学生さんに「この人と一緒に働きたい」と思っていただきたいですよね。
こちらに惚れてもらえるように、巧みな言葉や説得する力は大事です。

N課長時代は変わっても、お互いの思いが合致することが何より大切だと思います。
そのためには、真に魅力のある企業である必要がありますし、入社していただいたなら定年まで長く働いてもらいたいと思います。

M.S学生が会社側に求めること、働き方に関する考えも変わってきています。また、仕事と私生活のバランスをとれることがスタンダードな社会になりつつもあります。
そのような多様化した考え方に対応しながら、会社としての体裁も守りながら、採用活動に取り組むことが大切だと思いました。

N課長世の中の流れにも沿った“変化”の大切さは、モノづくりも採用活動も同じです。これからも人と人との縁を大事にしながら、人材の確保と育成に取り組みたいと思います。
会社の歴史をよく知る顧問を交えてお話ししていると、このまま喋ろうと思えば2時間でも3時間でも続きそうですが…。本日は、このあたりで。